第2回11枚小説『お題:ヒーロー』総評
主催の笹月です。
11枚小説も第2回目となりました。
本来は夏頃に開催予定だったのですが、様々な要因により延期となってしまいました。そのためご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。
さて、延期の末の開催だったのですが、最初の募集締切では応募作品が想像以上に集まらず主催としては内心、顔面蒼白状態でした。
( ゚д゚)< やっちまった――
そうです。想定外なまでに前回参加の方々の参加見合わせが相次いだのです。
(´・ω・`) < どして?
当初は理由が全然わからない状態だったのですが後に明確になりました(これは後述)
その後、11枚小説の現状を知った様々な方々のご支援をいただき、参加作品数も急増、最終的には参考参加作品も含めて【18作品】となり、前回参加作品数を上回る事ができました。これには本当に皆様には心から感謝いたしております。
特に、新たな参加者様が多数参戦していただけたのがありがたかったです。
当然、前回からの参加者の皆様方にも大いに助けていただきました。ご参加、ご支援、また、度重なる予定の遅延にも寛容にお待ちいただけたことはいくら感謝しても感謝しきれないほどです。
間違いなく11枚小説と言う企画は『皆様と一緒に作るもの』だと痛感させていただいた次第です。
さて――
今回の『ヒーロー』と言う課題ですが――、正直言います。
すいませんでした! 私の課題選択ミスでした! こんなに難易度の高いお題だったとは思っても見ませんでした!
いや、本当に!!
そもそもヒーローと言う言葉の成り立ち自体が、課題として不向きだったのです。
前回第1回の課題である〝歯車〟と言うのは単なる器物であり、そこからいかようにも膨らませる事が可能です。
オルゴール、
オートマータ、
ロボット、
伝説のアイテム、
組織の歯車、
運命の歯車、
人間関係の比喩としての歯車――
そう、前回はお題が様々な可能性を許容しうるフレキシブルな物だったのが幸いしていたのです。
ですが、今回の『ヒーロー』と言う課題は違います。
なぜならヒーローとは器物ではなく人間的存在であり、人としての成り立ちの結果として付けられるものだからです。
そもそも――、ヒーローは一人では成り立ちません。
敵がいて、味方がいて、守られるべき名もなき人々がいて、そして戦う理由が必要です。さらにはなぜヒーローなのか? と言う〝理由〟も求められます。
そう――
ヒーローをヒーローたらしめるには、あまりにも多くの要素と因果を必要とするのです。
私はこの点を見誤っていました。
主役、敵、ライバル、仲間、宿命、運命、動機、困難、逆転、戦い、勝利、敗北、能力――etc.
ヒーローと言う存在や概念を成立させるために必要となる物は実に多岐にわたります。それを原稿用紙11枚。字数にして4400字――、そんな狭小スペースにまとめ上げ押し込む! それがどれだけ恐ろしく難しいことか――
今回は自分自身で主催者出品として参加していたので、なおさらに痛感致しました。
またヒーローと言うキーワードのマニア性も影響したと思います。決して万人向けの課題でなかったのも事実です。
次回はこれらの問題点を考慮し、少しでも多くの人に受け入れられやすい課題を用意しようと思っております。
さて――
あつまった18作品ですが、大別すると2つの系統の別れました。
一つが純然たる『ヒーロー物』、変身ヒーロー、異能バトルヒーロー、ピカレスクヒーロー、アメコミ風、特撮風、サイバーパンク風――、驚くほどに多彩。今回の応募作の主流はこちらでした。
ですが、もう一つ――物語の主題として普遍的なドラマテーマとしての『ヒーロー』、こちらの方は少数ながらドラマの課題としての『ヒーロー』と言うキーワードの消化が恐ろしく巧みで、作品全体のクオリティも、ドラマテーリングも、そしてなにより『なぜヒーローでなければならないのか?』と言う問題が見事にクリアできていたのが特徴でした。
もちろん、その両方をこなした技巧派作品も存在しました。
総合的に見てみれば、2つの系統とも実力派の作品が非常に多く、中身の濃い、まさに『WEB短編小説ヒーロー大戦』と呼ぶにふさわしい結果だったと思っています。
審査結果を御覧いただけばわかるのですが、実は今回はSABCDの5ランク評定の中での真ん中である〝B〟評定の作品が多いです。
Aは3つ、Sに至っては1つです。
ですが――
これは作品が悪いからではありません。むしろ、課題の難易度が高すぎるが故に、審査のさいに加点をするのが非常にセンシティブで難しかったからと言うのが実際のところです。むしろ、どの作品も読み応えがあり、書かれた作家さんがたの作家としての地力の高さが伝わって来ていました。
ヒーローはいつでも傷だらけです。
SやAが頻出する結果よりも、血まみれ傷だらけのヒーローたちにふさわしい結果だと思います。
ですから――
『今回は〝B〟評定である事を心から誇ってください』
ゼットンに立ち向かうウルトラマンのように
岩石大首領に立ち向かう仮面ライダーたちのように
困難な不治の病に挑むブラックジャックのように
大魔王バーンに挑むダイのように
サー・クロコダイルに挑んだルフィのように
ラピュタの謎に挑んだパズーのように
極めて困難な〝11枚小説〟と言う難敵に挑んだ皆様がたの英雄の如き作品に出会えたことを心より誇りに思います。
最後に主催者より一言――
ご参加いただき、そして閲覧していただき、誠にありがとうございました。
ζ
■D:笹月風雲
追記!
次回、第3回の課題ですが――
『生涯の伴侶』と『科学空想』
――の2つの中から選んでいただく〝選択式〟としたいと思います!
ヒーローの様に登場人物の成り立ちを規定する課題である『生涯の伴侶』
幅広く応用可能な課題である『科学空想』(SFでないのがミソ)
そのどちらかを自由に選んでいただきます。
もちろん、両方を選んでいただいてもOKです!
さて、どんな結果になるか!
今から楽しみです!
では第3回にて!