第1回11枚小説コンペ お題『歯車』 結果発表
最優秀賞
君に贈る匣
受賞者ながる様コメント
こんにちは。ながると申します。 このたび「君に贈る匣」で最優秀賞を頂きました。こういうコンペでの入賞は初めてで、ちょっと放心しております。他の参加者さん達の作品も素晴らしかったので、好きなテーマだったり、ネタが降って来てくれたりと幸運も重なったのだと思います。 参加する機会を頂き、沢山の方に読んでいただいた上に、過分な寸評までいただけて幸せです。この度は本当にありがとうございました。
心臓の歯車
優秀賞
受賞者Veilchen様コメント
「歯車」という魅力的なお題に惹かれて参加させていただきました。4000字程度ならすぐ書けるだろう、と高を括っていたのも束の間、規定内に字数を収めるべく四苦八苦して、掌編の難しさを思い知らされることになりました。苦労して仕上げた作品、かつ自動人形や主従関係など好きな要素を詰め込んだものですので、評価していただけて大変嬉しく思います。
優秀賞
ハグルマ狩り
受賞者たびー様コメント
今回は第一回11小説賞コンテスにおいて、優秀賞をいただき感激しております。完成までに、紆余曲折・推敲・改稿があり、しょうしきクタクタになって書き上げたので感慨もひとしおです。運営・審査をしてくださった美風さま、クロスグリさま、ありがとうございました。
審査員個人表彰2点(下記ボタンをクリック)
【美風慶伍】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:5
総合点:20
一人称である事を最大限にフルに活かした秀作。特に歯車と言う難解な課題でありながらファンタジーやSFに走ること無く、現実的な人間ドラマとして精密なまでの心情描写を駆使して書き上げる姿勢を私は心から賞賛したい。特に課題である歯車と言う条件の作中での存在のさせたかが秀逸であり、二人の登場人物の間をとりもつ重要なマテリアルとして非常に効果的に描けている。そして作中を通して無理なくドラマチックに存在させる事に成功しており、お題消化度の点では6星をあげたいくらいである
【クロスグリ】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:5
総合点:20
友達でも恋人でもない、そんな男女の関係。そんなこと言われても想像しづらいものですが、この作品はそれを見事に表現できています。お互いのことをほとんど知らないけど、なんとなく親近感を感じる。それでいて遊びもデートもしない。ただ言葉と空間を共有するだけ。SNSが普及した現代だからこそ生まれたものなのかもしれませんね。さらに男のほうがオルゴールを作る展開で、創作論に結びつけた点もポイントが高いです。ずっと引きこもって物を分解していた男が、女性による外部刺激で――その女性のために、初めて――物を作るという。創作物のなかで創作を語ると大抵は臭くなってしまうのですが、これは感動しました。
平均総合点:20
【美風慶伍】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:5
総合点:20
課題である『歯車』と言うキーワードへの付加価値の付け方が素晴らしい。単なるキーワード消化ではなく、世界観背景につながる意味あるものとしての存在させることで、主人公の二人の絆と愛情関係につながるまでのドラマを完成させている。文章量も適度であり、11枚に無理やり押し込んだような窮屈感も皆無。ドラマの中身の濃さが見事だ。そしてアーティファクトなオートマータが〝心の痛み〟を訴えるラストが涙なくして見れない重さを持っている。
【クロスグリ】
お題消化度:4.5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:5
総合点:19.5
物語構成としては特に珍しいものはありませんが、巧みな文章力によって読み手の感情を引っ張っていってくれます。元々微妙な雰囲気を描写するのが得意な作者さんなのですが、今回は語り手の性格によって良い部分が強化されつつも、悪い部分が出てきている印象です。語り手がロボットなので詳細な地の文がそのままキャラ描写になっており、「上手い文章であり、なおかつそれを書くことの必然性を両立」することに成功しています。ただ細かすぎて説明過多になっている部分もあるのが難点です。
平均総合点:19.75
【美風慶伍】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:4.5
総合点:19.5
非常に完成されたアーティファクト・ファンタジー。歯車ではなくハグルマに込められた世界観とその悲劇性が胸を打つ名作。特に作品世界を貫く重要キーワードとして『ハグルマ』なる単語が徹底して貫かれており、その単語の意味を登場人物たちの語りを通じて追ううちに、ヒロインであるリラのドラマと生き様に惹き込まれてしまう。そしてもう一つのドラマの担い手である『ハグルマ狩り』の存在感に魅了されてしまうのだ。これを11枚に過不足無く納めた努力は見事だ! ただし1人称と3人称が切り替わる書き方は記号をなどを挟むなどして見やすくすべきだ
【クロスグリ】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:5
総合点:20
独特な世界観が好きです。掌編や短編の世界観はリアリティラインを上げるか、誰もが知っている王道・流行に寄せるのが鉄板で、オリジナリティを高くするとコケてしまいがちなのですが……この作品はすんなり入り込めました。おそらく落語調の語り口が効果的に働いているのだと思います。ここまで構築できていて魅せ方も凝っていると「なぜこれを4400文字にしたの? 長編にしないの?」と言いたくなります。
平均総合点:19.75
【美風慶伍】
お題消化度:4.5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:5
総合点:19.5
正直読み始めて、登場人物と描写要素の多さに『これ11枚に納まるんかいな?』と不安になって読んでいた。だがそれは杞憂だった。その多彩かつ膨大な構成要素の一つ一つを過不足無くきれいに磨き上げて全体構成の中に配置、そしてドラマの骨子として新兵少女と上官女性との緊迫感あふれる交流劇として盛り上がりに溢れた成長譚へと完成させている。お題の消化も見事であり、組織の歯車と言う言葉をネガティブではなく、心の糧として読者の印象に暖かな余韻を残すまでに仕上げられている。ルビ振りがされた単語が多いが丁寧かつ基本的な文章作法が守られているため読みにくさは皆無である。
【クロスグリ】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクタ:4.5
文章力:5
総合点:19.5
テーマ……というか主義主張が軸にあって、そこから肉付けされていったであろう作品です。全体の構成や文章力は平均以上ありますが、それよりも1シーン1シーンが最後の結論に関連付けされているのが面白いところです。2周目からちょっと点数が変わりました。それと描写に手を抜いていないのに、最後で作品の主義主張をそのまま書いちゃうのもポイントです。最後は直球なので好みは分かれてきそうですが、個人的には臭さや違和感は感じず、むしろ「よくこの文字数で拳一つ分の余裕を作れたなぁ」と思いました。
平均総合点:19.5
【美風慶伍】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクター:5
文章力:4
総合点:19
とてつもなく惜しい作品。作者が言わんとしているメッセージ、テーマ、ドラマ、キャラ造形――それらがまさにアーティファクトのように見事に成立している。戦争の無残さ、人間であることと人間でないことの残酷さ、ほんの僅かな言葉のズレが相手の心の中に落とす影とその悲劇。それが最高の悲恋劇として見事なまでに完成されている。修理士カルロの言葉の少なさを弟子の言葉が代弁する手法が、気持ちのすれ違いを見事に表現できている。だがそれだけに句読点の打ち方や文字の配分などが努力を要すのだ。ほんとに惜しい!
【クロスグリ】
お題消化度:4.5
序破急:4.5
キャラクタ:5
文章力:5
総合点:19
文学とヒューマンドラマのハイブリッドジャンルなのですが、読む人によってはどっちつかずの宙ぶらりんに感じてしまうかもしれません。物を物と思えない人、物以上の本質をもった人形、そして物扱いされていく結末……多角的な視点でドラマを伺えますし、特に人形が抱える小さな矛盾は、ある種文学的と言えるでしょう。しかしながら最後が普通というか刺激が少なくて、別の展開だったらもっと人間心理を描けたと思いました。
平均総合点:19
【美風慶伍】
お題消化度:4.5
序破急:3.5
キャラクタ:4.5
文章力:5
総合点:17.5
社会派モダンホラーとでも言うべきブラックさが持ち味の作品。その毒っ気の辛辣さも、主人公の哀れさもここまでくるとコメディとしても十分楽しめる一品だった。ただ難点があり全体が3つのパートから構成されているのだが①と②のパートは有効にリンクしている。だが③のパートが①と②にプロット上密接にリンクしているとは言い難い。実際、①と②のエピソードだけでも十分完成されておりそこで止めておけばブラックな風刺ドラマとして高評価は堅かったはず。①②で言っている事を別エピソードで重ねて言っているように見える。その意味ではとても惜しい作品。
【クロスグリ】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクタ:5
文章力:5
総合点:20
「社会の一部」の象徴として扱われる歯車が、歯車ゆえに社会から排除されてしまう……というアイデアは逆説的で面白かったです。真面目でありつつも鼻につく主人公が悲しい最期を遂げる、というヒューマンドラマを少ない文字数で成立させている点も非常にポイントが高いです。悪い点はなく、どれも良くてバランスが良い……のですが、エンターテイメントとしてはそこが逆に悪い点となるのかもしれません。重箱の隅をつつくような指摘ですが、仮にこれ以上に面白いものを目指すとなると、どこかを削るくらいしか自分には考えられませんでした。
平均総合点:18.75
【美風慶伍】
お題消化度:5
序破急:4
キャラクタ:4.5
文章力:4.5
総合点:18
独特のじわじわとくる不気味さの漂う作品。特に〝人間〟と〝歯車〟そのそれぞれに込められたテーゼがじわじわと表裏が逆転していく様が何よりも静かなダークさに満ちている。ラストの救われなさがまた良い。その雰囲気の醸し出し方は見事。だがホラーテイストの作品としてはどんでん返しが予想できてしまう。作中の人間定義の意味が理解できれば本来の人間定義と逆なのは解るからだ。11枚の枠内でラストで一気に恐怖に落とす凄みがほしい
【クロスグリ】
お題消化度:4
序破急:4.5
キャラクタ:4.5
文章力:5
総合点:18
某奇妙なドラマのような「こういうのなんか怖くね?」というじんわりホラー系と受け取れるのですが、そういうふうに見ると非常に惜しい出来になっています。ああいう系統を目指すのであれば、ぼんやりとした恐怖・違和感を描写が足りないですし、そういったシーンも溜め不足に感じました。しかしながら「異常な世界で、正常なはずの主人公が異常として扱われる」というコンセプトは個人的に好きですし、某ドラマにあってもおかしくないくらい優秀な題材だと思いました。
平均総合点:18
【美風慶伍】
お題消化度:4
序破急:4.5
キャラクタ:4.5
文章力:5
総合点:18
歯車という課題に対して直球ストレートな回答を出してくれた作品。歯車による制作物を物語の起点として、一組の男女がその距離を近づけていく様が描かれている。読んでいてラストシーンにホッとさせられる。だがそれだけに惜しい。まずお題の歯車の存在意義がラストシーンにまでつながっているかと言うと疑問が残る。また男性田上がヒロインと距離を近づけるその動機がいまいち見えてこずラッキー恋愛の域を出ない。ドラマチックさを増やすには11枚では入り切らなかった印象が残る。
【クロスグリ】
お題消化度:4
序破急:4
キャラクタ:5
文章力:5
総合点:18
シチュエーションによるエンターテイメント性に特化した作品です。4400文字で恋愛を表現するのはすごく難しいと思いますが、「工作を通じて2人の距離感を見せる」に終始していたので、ジャンルとしてちゃんと機能していました。ただパンチが弱いため、他と比較した際に記憶に残りづらいというのが難点でしょうか。読んだみた限りですと作者は正攻法で挑むつもりはなかったと思いますが、無理やり他の方々と同じ軸で評価しました。
平均総合点:18
【美風慶伍】
お題消化度:5
序破急:3
キャラクタ:3.5
文章力:5
総合点:16.5
重厚かつメカニカルな世界観を醸し出すエッセンスと、ストーリーテーマとして『歯車』と言うキーワードを何重にも使い込むスタンスは見事。蒸気とオイルと重厚なメカニズム。そしてその世界観の中で生きるヒロインの存在感が光っている。だがもう一人の登場人物を活かしきれておらず、キャラの存在感を序破急のストーリーの盛り上がりとドラマ的な展開にまで繋げられていない。あのラストも悪くはないが賛否別れるだろう
【クロスグリ】
お題消化度:5
序破急:4
キャラクタ:5
文章力:5
総合点:19
エンターテイメントではなく、どちらかというと詩的表現を楽しむタイプの人文学です。テーマは抽象的で、人間のなかにある理性……そこに潜む小さな矛盾がだんだんぼやけながら姿を表してきて、それが白紙に落とされた一滴の墨汁のように、なんとなく無視できない気分にさせられます。この手のものは本来点数をつけるようなものではないと思いますし、僕としては点数以上に好きな作品です。
平均総合点:17.75
【美風慶伍】
お題消化度:3.5
序破急:5
キャラクタ:4.5
文章力:4.5
総合点:17.5
プロットとオチへの展開はお見事! 作品タイトルからくる初期印象を逆に利用し、意表を突く形での伏線回収を成功させている。夫婦のキャラの描き方も意表性を強くする事に寄与しており、ついあれこれと勘ぐって考えさせられてしまう作者にあっぱれと言おう! ただお題である『歯車』の消化度と必然性については正直言って弱い。課題消化として歯車でなければならない必然性をもっと煮詰めるべきだった。
【クロスグリ】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクタ:4
文章力:3.5
総合点:17.5
文章の配分がバランス良く、構成は美しいです。歯車から機械、ロボットを想像するのは多いのですが、それに加えて「歯車は回り続ける→ループする」につなげたのは面白いアイデアだったと思います。しかしながら文章がやや直球すぎて、物語を盛り上げる材料になっていなかったのが惜しいところです。ファンタジー要素は妻を出すために取り入れたのだと思いますが、おそらく無くても成立した――無駄な要素になっている――のも、この少ない文字数のなかでは結構痛いところになっています。
平均総合点:17.5
【美風慶伍】
お題消化度:5
序破急:5
キャラクタ:5
文章力:4.5
総合点:19.5
11枚と言う『枠』にドラマとしての盛り上がりを見事に『枠ピッタリ』にはめ込むことに成功した優秀な作品。描ききれる人数、入れられるエピソード、盛り込める設定、それらがしっかりと職人芸のように収まり切っている。見事と言うよりほかない。なにより素晴らしいのは、お題の『歯車』と言うキーワードがどこで出るのか? と読者を引き込み鷲掴みにする程の『お題消化』の見事さである。そのお題の使われ方と消化方法が小気味よくプロット上に収まっておりラストシーンに拍手したくなる。ただラスト近くの姉の台詞回しで若干混乱を覚えた。
【クロスグリ】
お題消化度:3.5
序破急:4
キャラクタ:4
文章力:4
総合点:15.5
長編向けの題材ではあるのですが、コンパクトにまとめられていて、まるでダイジェストを見ている感覚で読めました。しかしながら主人公への感情移入、記憶喪失を利用したエンターテイメント、キャラクターごとの葛藤・心情描写などなど……足りないものは多々あります。一言でいうと、テーマのサイズと文字数が噛み合っていませんでした。あとは歯車がそこまで関係ないのも残念なポイントです。
平均総合点:17.5
【美風慶伍】
お題消化度:4
序破急:4.5
キャラクタ:5
文章力:5
総合点:18.5
よくぞ11枚に納めた! そう称賛したい作品。一般に一人称作品は、語り口調や説明文の描き方に慎重を要し、書き方次第では読む側に要点がさっぱり伝わらなくなる危険性が有る。さらに語り部の視点に制限されているため、語り部自身から見えるものと、見えないものとの違いにどう意味づけするかが大変重要になる。本作はそのあたりのコントロールが絶妙であり『視点による制限』を見事に利用しきったオチは最高だった。それだけに『歯車である事の必然性』の弱さが目に付いた。課題小説で無かったら満点だったろう。
【クロスグリ】
お題消化度:3.5
序破急:3.5
キャラクタ:4
文章力:4.5
総合点:15.5
勢いで書いてしまったためか、ちぐはぐ感が出ていたのが残念です。オチは意外性が高いものでしたが、伏線が弱いため唐突に感じてしまいました。後は病気が物語を作り上げる装置としてあまり機能していなかったところと、歯車も薄かったです。作者としてはひとつひとつの設定が綺麗に噛み合っているのでしょうが、そこはもうちょっと読み手に分かりやすく見せてほしかったところです。
平均総合点:17
【美風慶伍】
お題消化度:4
序破急:4
キャラクタ:4
文章力:4
総合点:16
SFの良い点と、悪い点がもろに出てしまった作品。惑星に仕掛けられたナノレベルでの歯車にまつわる多次元世界の逸話。SFガジェットとしては最高のロジックだ。素晴らしいくらいだ。だがこの作品はSF特有の落とし穴に見事にハマってしまっている。主人公男性の独特の語り口調でSFロジックが滔々と説明されるため、とにかく〝解りづらい〟のだ。SFは分かりやすさと、難解さを、絶妙なバランスで『SFに馴染みのない読者』にも理解してもらえるようにしてこそ意味があると思う。
【クロスグリ】
お題消化度:4
序破急:4
キャラクタ:4
文章力:4
総合点:16
文章や世界観から醸し出される雰囲気や、ジャンル特有の技巧を楽しむための作品ですね。なので好き嫌いが激しく分かれますし、読み方次第では何のことか理解できません。この手のものは考えながら読むのではなく、まず作品の雰囲気を楽しむ。一通り読み終えたところで「なんか好きだ」と思ったら、自分なりに考察しながら2周、3周と読み返すものです。キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』のような具体性を抽象性で包み込んだシーン、散りばめられたSF要素と文章センスに共感できる人にとっては大いに楽しめる作品だと思います。
平均総合点:16
【美風慶伍】
お題消化度:4
序破急:4
キャラクタ:4
文章力:4
総合点:16
完成された価値ある伝統技術の象徴としての『歯車』と言う、ある意味このお題には王道とも言えるストーリー展開。メカ好きモータースポーツ好きにはたまらない内容。だがその物語を描ききるために必要な設定要素やストーリーファクターが多くなりすぎ、それを11枚と言う規定に納めきるために、文字通りお話の中の車や主人公のように徹底的な軽量化がされた作品。むしろキャラの内面をしっかり描いてキャラ立てをして1万字~2万字くらいで書くべきではないか? 正直、勿体無い。
【クロスグリ】
お題消化度:4
序破急:4
キャラクタ:4
文章力:4
総合点:16
ジャンルとしてはヒューマンドラマになるのでしょうが、文字数が圧倒的に足りず、この企画には全然向いていません。主人公に感情移入出来ないうちに物語がどんどん進んでいきますし、レースの熱さにいまいち乗り切れません。構成や文章力の問題ではなく、単純にシーン数が少ないだけですね。
平均総合点:16
【美風慶伍】
お題消化度:4
序破急:4
キャラクタ:3.5
文章力:3
総合点:14.5
驚異的生物に立ち向かう職業的戦闘技術者たちの交流と駆け引きのドラマだと言うことは分かる。それが意図したとおりに描けていれば点数はもっと上。だが文章力が足を引っ張っている。特に1人称視点を活かしきれておらず、状況描写、心理描写、背景設定説明、行動描写、のそれらがくっついてしまっていて見分けにくく、中身を楽しむよりも、文章を読解する手間がかかっている。そのため、テーマ性、お題の消化方法、キャラクターの魅力となりたち、ドラマの盛り上がりとストーリーが読者に理解されにくくなってる。3人称で要素を整理して分かりやすさを心がけるべきだった。
【クロスグリ】
お題消化度:3.5
序破急:4
キャラクタ:4
文章力:3.5
総合点:15
すごく読みづらいです。この文字数のなかでがっつりとしたファンタジー世界をされると、予備知識のない読み手は置いてきぼりを食らってしまいます。某狩猟ゲームが好きな人なら、また違った印象を受けるのかもしれませんが……。僕としては世界観に入れないうちに多数の専門用語で苦しい思いをしました。あとは歯車に必然性がなく、別のものに置き換えやすいと思いました。
平均総合点:14.75
【美風慶伍】
お題消化度:3.5
序破急:2
キャラクタ:5
文章力:3
総合点:13.5
オチがない――、それ以前に11枚という〝枠〟にしっかりと納まる適度な大きさの『物語』がない。おそらくはもっと大きい物語が作者の中に存在し、その中の一部をこの11枚という規定にとりあえず入るところだけ書いてみた――と言う印象だった。だが、指定された課題の消化を前提として原稿用紙11枚と言う規定の中に一つの物語を完成させるという【課題付き掌編小説コンペ】とう11枚小説の主旨からすれば完全に規定違反と言っていいレベル。黒い歯車のおっさんぶりが笑えたのが唯一の救いだった
【クロスグリ】
お題消化度:3.5
序破急:3.4
キャラクタ:4
文章力:4
総合点:15
正直なところ、この作品に何かしらの意味を見いだせませんでした。頭に浮かんだものをそのまま書いただけという印象が強く、何を伝えたかったのか、どんな気持ちになってほしかったのかが全然分かりません。強いて言うなら作品全体を包む軽いノリは楽しめるでしょうが、オチも特にないため物語として処理するのも難しいです。
平均総合点:14.25